ミラクルの理念

インターネットを利用する人は、普通さまざまなプロバイダの中から良いと思った所を選び、そこと契約を結びます。どのプロバイダを選ぶかは利用者によってさまざまですが、その中でも大きい要素のひとつとして『速度』があると思います。各プロバイダでも「●●Mbps」と大々的に宣伝していますが、同時に必ず「最大通信速度はベストエフォート(規格上の最大速度)であり、実効速度として保証するものではありません。なお、通信環境や混雑状況により通信速度が変化する可能性があります。」といった注意書きがついています。これは、「●●Mbps」が「道」としての理想的な条件での性能であって、ユーザが使う時の性能は違う、ということを婉曲に述べています。

実際、インターネットを利用される人の中には「●●Mbps」と聞いて契約したのにも関わらず実際に接続して調べてみたらその半分もでていない、という経験をお持ちの方も数多くいらっしゃるのではないでしょうか。どうしてこのような事が起こるかと言えば、当然ながら「道」の広さ以外に通信速度に関わる重要な要素があるからです。

インターネットではデータを「IPパケット」という小包に分割して配送します。この分割された小包が全て受信先にそろってようやくデータの送信が完了したと言えるわけですが、インターネット上は道が凄く複雑な上に事故もよくあって、小包が途中で紛失してしまうなどという事も日常茶飯事です。だからといって、小包を送ったはいいけどそれが受信側にちゃんと届いたかどうかわからないなんて状況では困ってしまうので、多くの場合送信側と受信側では今この小包を送った、その送られた小包はちゃんと届いた、といった内容の連絡を交わしながらデータ通信を行っています。もし、途中で事故があると受信側から送信側にこの小包が届いていないという連絡が入り、送信側は再びその小包を送りだす。そうする事によって、最終的に全ての小包が受信側で揃うようにしているわけです。

つまり、いくら道が広くても事故が多発し紛失する小包が多ければ当然データを送受信しきるまでにかかる時間は長くなりますし、そういった紛失事故がなくとも送信側と受信側間での連絡に手間取ればやっぱり全てを送信しきるまでには時間が掛かってしまうわけです。
これらを制御している、言わば宅配業者をTCP (Transmission Control Protocol)と言うのですが、そのTCPの速度こそが、インターネットの速度であると言って差し支えないでしょう。

前置きが長くなりましたが、ミラクルは、現在ほとんど認知されていないTCP速度が世間的に認知される事を目標として活動をしています。

最初に挙げたプロバイダの例で言うのなら、彼らは「●●Mbps」という道の広さばかりを吹聴するのではなく、実質的な速さにつながるTCPの性能こそを公表するべきです。あるいは一定の試験期間を設けるなどして、そのプロバイダを利用した場合の実効速度をユーザが試す機会を与えるべきでしょう。なにしろ、実際にやってみないとどのくらいの速度がでるのかはわからないのですから。